第6話 標的市場の選定
なぜターゲットを絞るのか?
マーケティングのプロセスでは、消費者や競合、自社などの環境分析を行った後で、ターゲットとする市場を選定します。
ターゲットを絞ってマーケティングを行っていくことで、限られた経営資源を有効に活用し、特定の顧客セグメントのニーズに柔軟に対応していくことが狙いです。
このように、市場のターゲットを絞ってマーケティングを行う方法を、ターゲット・マーケティングと呼びます。
ターゲットマーケティングには、3つのプロセスがあります。
① 『セグメンテーション』市場を細かく細分化する
② 『ターゲティング』標的とするセグメントを決める
③ 『ポジショニング』自社をどのように差別化するかを決める
①セグメンテーション
セグメンテーションは、市場をある基準に基づいて、小さい集団に細分化することです。
例えば、年齢層という基準で細分化すれば、年齢層別のセグメントができます。
この場合、それぞれの年齢層のセグメントには、異なるマーケティング・ミックスでアプローチする方が、単一のマーケティング・ミックスでアプローチするよりも効率的なことが多いです。
また企業によっては特定の年齢層のみターゲットにする場合もあります。
このように、セグメンテーションを行うことで、効率的なマーケティングが可能になります。
※マーケティング・ミックスとは…
4Pと4Cと呼ばれる考え方です。
セグメンテーションでは、市場を細分化する基準の選択がポイントとなります。
細分化の基準を見ていきましょう。
細分化の基準
・地理的基準(ジオグラフィック)《オンラインビジネスおすすめ度★☆☆》
地域や気候、人口などの地理的な基準で細分化を行う。
例えば、地域別の商品を企画したり、特定の国をターゲットとしたマーケティングを開発する場合に使われます。
・人口統計的基準(デモグラフィック)《オンラインビジネスおすすめ度★★☆》
年齢や性別、家族構成、職業、所得などの人口統計的な基準で細分化を行うものです。
特に、消費財のマーケティングで重宝されてきた基準です。
例えば、30代の男性向けというように、セグメントがわかりやすいのが特徴です。
一方近年では、人口的な基準の枠では捉えにくいケースが多くなってきました。
例えば、アウトドアが好きな人は、年齢層に関わらず同じような購買傾向を示すことがあります。
このような場合には、次の心理的基準や、行動変数基準を使うと効果的です。
・心理的基準(サイコグラフィック)《オンラインビジネスおすすめ度★★★》
例えば、アパレルメーカーが、先ほどのアウトドア志向というライフスタイルで市場を細分化することにより、アウトドアに適した洋服や靴などの商品を開発し、アウトドアのライフスタイルを訴求したプロモーションを行っていくことができます。
・行動変数基準 ※現代のWebマーケには1番重要《オンラインビジネスおすすめ度★★★★★》
消費者の製品に対する知識や態度、反応などで細分化を行うモノです。
例には、購買状況や、使用頻度、購買パターン、求めるベネフィットなどがあります。
例えば、頻繁に購入する層や、製品に非常い詳しい層、ロイヤリティーが高い層など、購買行動の特徴を捉えてセグメンテーションを行います。
細分化で満たすべき4つの要件
セグメントが役に立つためには、次の4つの要件を満たしている必要があります。
・測定可能性
細分化したセグメントの規模や購買力が測定できるということ
・到達可能性
細分化したセグメントに、チャネルなどを通じてアプローチできるということ。
・維持可能性
細分化したセグメントが十分な利益を上げるくらい大きいということ。
・実行可能性
効果的なマーケティング・プログラムを実行可能だということ。
セグメンテーションでは、このような要件を満たすセグメント基準を発見していくことがポイントです。
②ターゲティング
次にターゲティングです。
セグメンテーションを行った後で、どのセグメントに狙いを定めるかを検討します。
これがターゲティング(標的市場の選定)です。
ターゲティングでは、まずセグメントの魅力度を評価し、次にターゲットするセグメントを決定します。
セグメント選択のアプローチ
セグメントを選択するには3つのアプローチがあります。
①無差別マーケティング《従来型のアプローチ》
②差別型マーケティング《大企業のアプローチ》
③集中型マーケティング《副業や個人がやるべきアプローチ》
ここでは、『副業』『個人事業』に向けている、③集中型マーケティングの説明をしていきたいと思います。
集中型マーケティング
特定のセグメントにターゲットを絞り込み、そこに全ての経営資源による単一のマーケティングミックス(4P)を投入する方法です。
メリットとしては、限られた経営資源を有効に活用できる事です。
逆にデメリットは、全ての経営資源を1つのセグメントに集中するため、リスクが分散できないことです。
個人では、経営資源が限られているため、セグメントを絞り込む集中型マーケティングを取ることが多くなります。
この場合は、自社の強みを生かし、競合に対して競争優位を築いていく必要があります。
そのための方法がポジショニングです。
③ポジショニング
選択したセグメントで競合他社よりも優位性を築く方法です。
消費者にある製品を購入してもらうためには、消費者にその製品の総合的な価値が最も高いと思わるれる必要があります。
この場合の価値とは、製品の機能だけでなく各種のサービスや価格も含めて、市場にある競合製品と比較して総合的に判断されます。
このように、市場の中で自社の製品がどのように位置づけられるのかを示すのがポジショニングです。
ポジショニング・マップ
ポジショニングの検討には、ポジショニング・マップ、別名、知覚マップと呼ばれる図がよく使われます。
ポジショニング・マップは、2つの軸を持ったマップです。
この2つの軸により、競合との差別化を表現します。
上記の画像のように、コーヒーのポジショニング・マップはこのようになっています。
横軸が金額で、縦軸が質です。
このように自身のビジネスにおいても、総合的に価値が高いと感じてもらうためにも、ポジショニング・マップを使った他者との差別化は必須です。
そして『個人』で戦うのであれば、価格競争においては低価格で売り出してしまっては他社絶対に勝てないので、高価格で発売することは必須です。
高価格でも欲しいと思ってもらえるための、価格以外の総合的価値で差別化をしていきましょう!
新商品戦略
〜売上を最大化するターゲット・マーケティング〜