〜売れる商品を作るコンセプト〜

第8話 価格、チャネル戦略

 

前回は、製品戦略をやっていきましたが、いくら顧客ニーズに合った素晴らしい製品を開発しても、価格の設定次第では全く売れないことがあります。
このように価格戦略はマーケティングにとってとても重要です。

 

価格の役割

 

まず、価格にどのような役割があるのでしょうか?

顧客が製品を購入する、すなわち取引が成立するためには、顧客は支払う対価よりも、製品により受け取る価値の方が大きいと認識する必要があります

そして、その価値の判断基準となるのが『価格』です。

 

また、企業側から見た場合は、価格の設定次第で利益が大幅に変わってきます。
価格を高く設定したら、粗利率は増えますが、販売量が減り全体の売上や利益が少なくなる可能性があります。

逆に、価格を低く設定すれば販売量は増えますが、粗利率が減り儲からなくなる可能性があります。

 

 

価格の影響要因

 

消費者の需要

また、価格を設定する上では様々な影響要因を考慮する必要があります。

価格の影響要因としては、第一歩に消費者の需要が挙げられます。

経済学の完全市場の理論では、需要が供給よりも大きい場合は価格上昇し、需要が供給よりも小さい場合は価格が低下します。
一般的にも、人気がある製品は価格が高めに設定され、不人気の商品は安売りされることがよくあります。

また、製品によってかかくを下げるとよく売れるものと、価格を下げてもあまり売上が変わらないものがあります。
これを表すのに、需要の価格弾力性という言葉が使われます。

需要の価格弾力性とは、価格が変化したときに、需要が変化する割合を表します。

価格弾力性=需要の変化率÷価格の変化率

価格の弾力性により、価格戦略が変わってきます。

 

製品のコスト

次の要因として、製品コストが挙げられます。

製品の製造や販売にかかるコストは、価格設定の際の基準となります。
コストにどれくらいの利益を上乗せするかで価格戦略は変わってきます。

 

競合の不在

通常は市場には複数の競合がいるため、競合を意識した価格設定をする必要があります。

 

法的な規制

例えば、独占禁止法ではメーカーが流通業者の販売価格を拘束することなど、不公正な取引を禁止しています。

 

 

このように、価格設定の際には、様々な要因を考慮する必要があります。
また、価格戦略は、マーケティング戦略の一部であるため、製品戦略、チャネル戦略、プロモーション戦略と合わせて考えることが重要です。

 

※個人でやっていく場合は、低価格だと薄利多売になって、「お金」も「時間」も「体」も限界がやってきます。よって、顧客サポートや、その他サービスにかける時間がないので、差別化も難しくなります。
なので、競合他社との価格競争に巻き込まれないように、しっかり差別化して高単価で販売できるようになることが、顧客へのサポートなどの本当に使うべきところに時間が使えますし、他者との差別化にもつながるのでベストです。
これらを頭に入れた上で、価格設定をしていきましょう。

 

 

価格設定

これまで見てきたように、価格の影響要因として、製品のコストや顧客の需要、競合の存在がありました。

この3つのうち、どれを重視するかで価格設定の基本戦略が考えられます。

 

 

コスト志向の価格設定(個人ビジネスおすすめ度★☆☆)

基本戦略の1つは、製品のコストを重視するコスト志向です。
コスト志向の価格設定では、製品の原価に一定の利益を上乗せすることで、価格を設定します。

この方法は、コストプラス法とも呼ばれますが、流通業ではマークアップ法と呼ばれることもありあます。

製造業では、コストは製品の製造原価となりますが、流通業では、コストは仕入れ原価になります。
流通業の場合には、仕入れ原価に一定の値入率を掛けた値入額を算出し、仕入れ原価に上乗せして販売します。

 

 

需要志向の価格設定(個人ビジネスおすすめ度★★☆)

次の基本戦略は、需要を重視する需要志向の価格戦略です。

需要志向の価格設定では、消費者の需要にあわせて価格を設定します。
つまり、需要が供給よりも大きければ高い価格を設定し、需要が供給よりも小さければ低価格を設定します。

例えば、旅行のパッケージなどは、需要が多い季節が多い季節には高い価格で販売されています。
このように、需要に基づいて価格を設定するのが、需要志向の価格設定です。

 

心理的価格設定

特に消費者の心理を重視して価格を設定するのが、心理的価格設定です。心理的き価格設定にはいくつかの種類があります。

◇名声価格(個人ビジネスおすすめ度★★★)
1つは、名声価格です。
名声価格は、威光価格と呼ばれることもあります。
名声価格は、あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があるということを認識させるような価格です。
例えば、高級時計などのブランド品は、値段が高い方が、ステータスが上がり、低い価格をつけた時よりも売れる場合があります。

◇単数価格(個人ビジネスおすすめ度★★★)
他の心理的価格設定には、単数価格がります。
単数価格は、980円など、あえて値段を単数にした価格設定です。
9や8が付く単数をつけると、消費者は実際よりも値段が安く感じることが多いため、日用品などで特によく用いられる価格設定方法です。

◇慣習価格(個人ビジネスおすすめ度★☆☆)
次の心理的価格には、慣習価格があります。
慣習価格は、消費者が慣習的に一定の価格のみ受け入れられているような価格です。
例えば、現在は缶ジュースは120円で売られていることが多いですが、120円よりも高くなると需要が急激に減ります。
よって、常に120円という慣習価格で販売されます。

 

競争志向の価格設定

基本戦略の、競争志向の価格設定を見ていきましょう。

競争志向の価格設定では、競合の価格を重視して価格を設定します。
競争志向の価格設定の代表的なものには、実勢型価格設定入札型価格設定があります。

 

◇実勢型価格設定(個人ビジネスおすすめ度★☆☆)
実勢型価格設定は、競合企業の実勢価格に従う方法です。
一般的には、価格を支配的に決定しているリーダー企業、すなわちプライスリーダーの価格に、プライスフォローワーが追随します。
例えば、家電量販店では、競合の店舗よりも安いことを売りにしている店舗が多くあります。
このように、実勢型価格は、消費者が価格差に敏感な製品によく使われる方法です。

 

◇入札型価格設定(個人ビジネスおすすめ度★☆☆)
入札型型価格設定は、契約が入札で決定される場合に用いられる価格設定です。
入札では、最も価格が低い企業が契約を受注できるため、入札に参加する競合企業の価格を予想しながら入札価格を設定する必要があります。

 

 

新製品価格設定

 

◇上澄吸収価格戦略(スキミングプライス)(個人ビジネスおすすめ度★★★)
上澄呼吸価格戦略は、スキミングプライスや初期高値戦略とも呼ばれることもあります。
新製品に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感ではない消費者(価値でお金を払う消費者)に販売する方法です。
新製品は販売当初は、価格が高くても購入するイノベーター(革新者)という顧客そうがいます。
そういった顧客そうをターゲットに高単価で販売することが狙いです。

上澄吸収価格戦略のメリットは、利益率が高く、新製品の製品コストを早く回収できることです。
一方、価格を高く設定すると、実際にはあまり売れない恐れもあります。

上澄呼吸価格戦略が成立する条件は、まず新製品の品質イメージが高く、競合と差別化できており、競合が模倣しにくいことです。
もし、同じような製品をより安く販売する競合が出てきた時に、消費者が競合の方に流れてしまう場合はこの戦略は成り立たなくなります。
よって、需要の価格弾力性が高い場合には向いていない戦略とも言えます。

どんな製品でも、いずれは競合に模倣されて価格競争になってきます。
初めは上澄吸収価格戦略により高価格を設定した場合でも、時間が経つにつれて価格が下がるのが一般的です。

 

 

◇市場浸透価格戦略(個人ビジネスおすすめ度★★☆)
市場浸透価格戦略は、ペネトレーションプライスや初期低価格戦略と呼ばれることもあります。
新製品を安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを高める戦略です。

市場浸透価格戦略が成立する条件は、需要の価格弾力性が高いことです。
つまり、価格を下げた場合に消費者が敏感に反応し、需要が増加することが必要です。

市場浸透価格戦略は、模倣されやすい最寄品でよく見られえる価格戦略です。

 

 

製品ミックスによる価格設定

 

◇抱き合わせ価格(個人ビジネスおすすめ度★★★)
これは、複数の製品を組み合わせてセットで販売する方法です。
例えば、上下セットの服や、ソフトがあらかじめ組み込まれたパソコンなどが抱き合わせ価格の例です。
セットで安い価格で販売することで、消費者にまとめて販売することが狙いです。

 

◇プライスライニング(個人ビジネスおすすめ度★★★)
これは、プライスラインという段階的な価格帯に沿って、製品を販売する方法です。
例えば、最近はスーツやメガネなどでも、製品のランクごとのプライスラインを設定している店舗があります。
プライスラインを設定することで、消費者が製品を選択しやすくすることができます。

 

◇キャプティブ価格(個人ビジネスおすすめ度★★★)
キャプティブとは「虜」という意味で、メインの製品を安くし、付随する製品を一緒に購入してもらう戦略です。
例えば、以前の携帯電話は本体が非常に安く、通話料で利益を確保するような価格設定がされていました。
このようにキャプティブ価格では、メインの製品を魅力的な価格設定にして顧客を取り込み、付随製品で儲けることが狙いです。

第9話の 次回予告

プロモーション・応用マーケティング

〜売上を最大化するターゲット・マーケティング〜