第4話 ドメインの定義
ドメインとは?
戦略では、どう戦うかを検討する前に、『どこで戦うか』ということが大事です。
これを表す言葉がドメインです。
そのため、企業戦略の作成では、ドメインの定義が第一歩となります。
ドメインは事業を行う領域を表します。
具体的には、『誰に』『何を』『どうやって』提供するのかを定義するのがドメインとなります。
ここで大事なのは、『何を』だけではないということです。
つまり、商品の分野を決めるだけではなく、『誰に』という顧客の視点を持つことが重要です。
ドメインの目的とは?
・意思決定を明確にできる
・経営資源を集中できる
・組織を一体化できる
この3点があげられます。
個人で戦っていくためには、少ない経営資源で大きな力を発揮していかなければなりません。
ドメインを定義しなかったら、力が分散してしまいます。
イメージとしては、
ドメインなし…
『ヒト 10』+『モノ 10』+『カネ 10』=30
ドメインあり…
『ヒト 10』×『モノ 10』×『カネ 10』=1000
このように、足し算と掛け算くらい、結果として大きな差があります。
よって、個人事業主や、副業などで結果を出すためには特に、このドメインの定義がすごく大事なんです。
ドメイン定義のポイント
ドメインを定義するポイントとしては、経営資源や組織の努力が分散することを避けるということです。
つまり、ある程度、事業範囲を絞ることが大事です。
ドメインが広すぎると、たくさんの競合と戦わなくてはいけないため、競争が激化してしまいます。
また組織で動いているとしたら、組織の力が広い範囲に分散してしまうため、一点に注力している競合に負けてしまいます。
ただし、絞りすぎると、対象とする市場が小さくなりすぎて、事業として成立しなくなる可能性があります。
よって、広すぎず狭すぎず、適度な範囲にすることがポイントです。
※個人でやる場合は、ドメインは小さすぎるくらいがいい場合もあります。
ドメインの定義方法
ドメインの定義方法として、『物理的な定義』『機能的な定義』があります。
×『物理的な定義』は、ドメインを「モノ」として定義します。
○『機能的な定義』は、ドメインを「コト」として定義します。
例として、
鉄道事業がよくあげられます。
鉄道事業は、自身を「鉄道」事業者として、物理的に定義していました。その後、自動車や、航空機などの産業に押されて衰退してしまいました。
そこで、もし・・・
ドメインを「運輸業」として機能的に定義していれば、トラックを利用した輸送に進出するなど、別の選択肢もあったでしょう。
このように物理的にドメインを定義した場合、顧客視点がなく事業展開が制約されてしまいがちです。
この現象をマーケティング・マイオピアと呼びます。
マイオピアとは、近視眼という意味です。
これを避けるためには、顧客視点で見た機能的なドメインの定義の方が有利です。
ドメインを機能的に定義した方が、事業展開が発展的になります。
ただし、あまりにも抽象的に表現した場合は、わかりにくくなり、先ほど紹介した「分散を回避する」という目的を達成できなくなるため注意が必要です。
ドメインの転換
ドメインは1度定義したら変えないものではなく、環境の変化に適応して、時代に合わせて変更していくことも必要です。
例えば、
IBMは、以前はメインフレーム中心のコンピューターメーカーでした。
この時のIBMのドメインは「コンピューター」だったと考えられます。
しかし、ハードの競争が激化という環境変化に直面して、ドメインを機能的な「ソリューションビジネス」に転換しました。
その結果、経営変革に成功し、業績を向上させることに成功しました。
このようにドメインはとりまく環境が大きく変化した場合は、再定義する必要があります。
ドメインの定義は、
戦略を作成する第一歩です。
そのために、
ドメインを転換する際にも、
SWOT分析などを行い、外部環境、内部環境を分析した上で決定していくことが重要です。
マーケティング基礎
〜マーケティングの基礎を知ることで、プロセスを学ぶ〜